
卵、牛乳(乳製品)、小麦。
この3つは、お菓子づくりの基本の材料であり、食物アレルギーの原因としても多く挙げられる食物です。
ひとつだけでもお菓子選びは大変ですが、2つ、3つと重なると、選べるものはさらに少なくなります。最近は「卵・乳・小麦不使用」と書かれたお菓子も見かけるようになりました。
今回は AFRODE CLINIC 代表医師・道下将太郎先生に、卵・乳・小麦のアレルギーが重なる人のお菓子の選び方を聞きました。
Q1. 卵・乳・小麦のアレルギーが重なることは、よくある?
記者卵・乳・小麦は、どれも食物アレルギーの原因としてよく聞く食物です。
道下医師「そうですね。とくに乳幼児では、この3つが原因として多く挙げられます。ひとつの食物だけの人もいれば、複数に反応する人もいます。
そして、それぞれどこまで食べられるかも違います。卵は加熱したものなら少し食べられる、乳は少量でも避けている、といったように、同じ人の中でも食物ごとに線の引き方が変わることがあります。」
記者「3つともすべて除去する」とは限らないのですね。
道下医師「はい。最近は、必要以上に除去しすぎず、食べられる範囲は食べていく、という考え方が基本です。何をどこまで避けるのかは、検査などをもとに医師と一緒に決めておくことがいちばん大切です。」
Q2. 市販のお菓子では、3つの表示をどう確認すればいい?
記者市販のお菓子では、どこを見ればいいですか。
道下医師「袋や箱に入った加工食品なら、卵・乳・小麦はどれも表示が義務づけられている“特定原材料”です。アレルゲンの表示に“(一部に卵・乳成分・小麦を含む)”のようにまとめて書かれていることが多いので、まずそこを見ます。
そのうえで、原材料名を一つずつ追います。卵は“玉子”“エッグ”、乳は“バター”“チーズ”“ホエイ”、小麦は“薄力粉”“全粒粉”“しょうゆ”のように、別の名前で並ぶことがあるからです。」
記者「卵・乳・小麦不使用」と書かれていれば、それで十分でしょうか。
道下医師「探すときの大きな手がかりになります。ただ、“使っていない”と“一切混ざらない”は同じではありません。“同じ工場で卵・乳成分・小麦を含む製品を製造しています”といった注意書きは、メーカーが任意で書いているもので、書かれていなくても混入の可能性がゼロとは限りません。ごく微量でも症状が出る人は、医師とその点も相談しておいてください。」
Q3. 「3つ不使用」のお菓子で、見落としやすいことは?
記者卵・乳・小麦を使わないお菓子は、何でつくられているのでしょうか。
道下医師「小麦粉の代わりに米粉や大豆粉、アーモンドプードル。牛乳の代わりに豆乳やココナッツミルク。バターの代わりに植物油。こうした材料がよく使われます。」
記者そこに注意点がある、ということですか。
道下医師「はい。代わりに使われる材料に、別のアレルギーの原因が含まれることがあるんです。大豆やアーモンド、クルミなどのナッツ類ですね。
卵・乳・小麦だけでなく、ほかにも避けている食物がある人は、“3つ不使用”の表示だけで安心せず、原材料表示を最後まで見てください。とくにナッツ類は、少量でも強い症状が出る人がいます。」
Q4. 「ヴィーガン」のお菓子なら、卵・乳・小麦アレルギーでも大丈夫?
記者「ヴィーガン」のお菓子は、動物性の材料を使っていないので、卵と乳は入っていないですよね。
道下医師「ヴィーガンは、動物性の食材を使わないという考え方なので、卵や乳製品を使っていないものが多いのは確かです。
ただ、ヴィーガンは食物アレルギーのための表示ではありません。小麦はふつうに使われていますし、製造の過程での混入についての配慮も、アレルギー対応とは別のものです。“ヴィーガンだから大丈夫”ではなく、やはりアレルゲンの表示で確認するのが基本です。」
記者「グルテンフリー」も同じですか。
道下医師「同じです。グルテンフリーは小麦などのグルテンに着目した言葉で、卵や乳とは関係がありません。また日本では、お菓子に“グルテンフリー”と書くための国の統一された基準はありません。言葉の印象ではなく、表示の中身で選ぶ、ということですね。」
Q5. 複数のアレルギーがある子どもの、おやつとの付き合い方は?
記者子どものおやつは、楽しみでもあります。避けるものが多いと、親も子どもも大変そうです。
道下医師「そうですね。除去する食物が多いときは、栄養が偏っていないかも気になるところです。主食やおかずも含めて、医師や管理栄養士に相談しながら考えるのがいいと思います。
そのうえで、おやつはやっぱり楽しみの時間です。家族や友だちと同じものを一緒に食べられる、というのは、子どもにとって大きな意味があります。表示をきちんと確認できる“3つ不使用”のお菓子は、そういう時間をつくる選択肢になると思います。」
Q6. 卵・乳・小麦アレルギーの人にお菓子を贈るときは?
記者最後に、ギフトで気をつけることを教えてください。
道下医師「事前に、何をどこまで避けているかを聞くこと。卵・乳・小麦のほかに、大豆やナッツを避けている人もいます。
そして、原材料表示がついた商品を選び、表示ごと渡すこと。食べるかどうかを最後に決めるのは本人です。贈る側にできるのは、相手が自分で判断できる材料を一緒に渡すことだと思います。」
まとめ:「3つ不使用」は入り口。最後は原材料表示を最後まで読む
卵・乳・小麦のアレルギーが重なる人のお菓子選びで大切なのは、
- 何をどこまで避けるかは食物ごとに違い、医師と一緒に決めること
- アレルゲンの表示と原材料名で、3つそれぞれの別の書き方まで確認すること
- 「3つ不使用」でも、代わりの材料(大豆・ナッツなど)に注意すること
- 「ヴィーガン」「グルテンフリー」はアレルギー対応の表示ではないと知っておくこと
- 贈るときは事前に聞き、表示のついた商品を表示ごと渡すこと
「卵・乳・小麦不使用」は、選べるお菓子を見つけるための大切な入り口です。そのうえで原材料表示を最後まで読むこと。それが、みんなで同じお菓子を楽しむための近道です。
編集部より|卵・乳製品・小麦粉を使わない焼き菓子のギフト
最後に、編集部から一つご紹介です。
南青山のカフェ「L for You(エルフォーユー)」の焼き菓子は、卵・乳製品・小麦粉を使わずにつくられています。オンラインショップから、焼き菓子をギフトとして贈ることができます。集まりや手土産で「みんなで同じお菓子を」というときの選択肢のひとつになります。原材料の選定と製法の設計には、AFRODE CLINIC が監修として関わっています。
※小麦粉は使用していません。厨房で小麦を扱うことはありません。卵・乳製品も使用していません。ただし、原材料がつくられる場所の近くで卵・乳製品・小麦を扱っている場合など、原材料由来の微量の混入(コンタミネーション)までは否定できません。
※クルミ・アーモンドなどのナッツや、大豆を使用している商品があります。
※原材料は商品ごとに異なります。ご購入の前に、各商品ページの原材料表示をご確認ください。
参考文献
- 消費者庁「食品表示基準について」/「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」
- 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
- AMED研究班「食物アレルギーの診療の手引き2023」
