
「アレルギーがあると、お菓子売り場で何を見ればいいのかわからない」
「パッケージに“アレルギー対応”と書いてあれば、それで安心していいの?」
食物アレルギーがある人にとって、お菓子選びは毎回の小さな判断の積み重ねです。卵、乳、小麦のほかにも、ナッツや大豆、果物など、気をつける食物は人によって違います。
今回は AFRODE CLINIC 代表医師・道下将太郎先生に、食物アレルギーがある人が市販のお菓子を選ぶときの基本を聞きました。卵・乳・小麦それぞれの詳しい選び方は、別の記事でも紹介しています。
Q1. 食物アレルギーとは、どういう状態?
記者あらためて、食物アレルギーとはどういう状態なのでしょうか。
道下医師「食べものに含まれるタンパク質を、体の免疫が“異物”と勘違いして反応してしまう状態です。じんましんやかゆみ、せき、腹痛などが出ることがあり、まれに全身に強い症状が出るアナフィラキシーにつながることもあります。」
記者子どもに多いイメージがあります。
道下医師「乳幼児では卵・乳・小麦が原因として多く挙げられますが、大人になってから果物や甲殻類などで気づく人もいます。年齢とともに食べられるようになる人もいれば、新しく反応が出る人もいる。どこまで食べられるかは人によって大きく違う、というのが大前提です。」
Q2. 市販のお菓子のアレルゲン表示は、どう読めばいい?
記者市販のお菓子では、まずどこを見ればいいですか。
道下医師「袋や箱に入った加工食品には、原材料名とアレルゲンの表示があります。“(一部に卵・乳成分・小麦を含む)”のように書かれている部分ですね。
ここで知っておいてほしいのは、アレルゲンの表示には“義務”のものと“推奨”のものがあることです。」
記者義務と推奨、ですか。
道下医師「卵・乳・小麦のように、症状が出る人が多い、あるいは重い症状につながりやすい食物は、表示が義務づけられています。一方で、大豆やアーモンド、りんごなどは表示が“推奨”されている食物で、メーカーによっては書かれていないこともあります。
ですから、推奨の側の食物を避けている人は、アレルゲンの表示に書かれていないだけで“入っていない”と判断せず、原材料名を一つずつ確認することが大切です。」
Q3. 表示がない売り方のお菓子は、どう考えればいい?
記者パン屋さんやケーキ屋さんのお菓子には、表示がないこともありますね。
道下医師「店内で焼いてその場で売っているお菓子や、カフェやレストランで出されるデザートは、アレルゲンの表示の義務の対象外です。
表示がないから入っていない、ということではありません。お店の人に原材料を確認できるか、確認できないなら避ける、という判断になります。」
記者ネット通販のお菓子はどうでしょう。
道下医師「商品ページに原材料やアレルゲンの情報が載っていることも多いですが、最終的には届いた商品の表示を見て確認するのが確実です。原材料や製造する場所が変わることもあるので、同じ商品でも“前に大丈夫だったから”ではなく、毎回表示を見る習慣がおすすめです。」
Q4. 「アレルギー対応」「〇〇不使用」と書かれたお菓子は、それだけで選んでいい?
記者「アレルギー対応」や「卵・乳・小麦不使用」と大きく書かれたお菓子も増えています。
道下医師「探すときの手がかりとしては、とても助かる表示です。ただ、“アレルギー対応”という言葉には、すべての人に共通の基準があるわけではありません。何を使っていないのか、自分が避けている食物がそこに含まれているのかは、裏の表示で確かめる必要があります。
“〇〇不使用”も同じで、“使っていない”ことと“一切混ざらない”ことは別の話です。」
記者「同じ工場で〇〇を含む製品を製造しています」という注意書きのことですね。
道下医師「そうです。この注意書きはメーカーが任意で書いているもので、書かれていなくても混入の可能性がゼロとは限りません。ごく微量でも症状が出る人と、医師と相談して“このくらいなら食べてよい”と決めている人とでは、受け止め方が変わります。どちらに当てはまるかは、主治医と一度はっきりさせておくのがいちばんです。」
Q5. 食べられる範囲は、自分で判断していい?
記者「少しなら大丈夫だった」という経験から、自分で範囲を決めている人もいそうです。
道下医師「そこは自己判断しないでほしいところです。食べられる範囲は、医療機関で少しずつ食べて確かめる検査(食物経口負荷試験)などをもとに、医師が判断するものです。
最近は、必要以上に除去しすぎず、食べられる範囲は食べていく、という考え方が基本になっています。だからこそ、“ここまでは食べてよい、ここからは避ける”という線を、医師と一緒に決めておくことが大切です。」
Q6. お菓子を食べて症状が出たときのために、備えておくことは?
記者もし症状が出てしまったときのために、準備しておくことはありますか。
道下医師「症状が出たときにどうするかを、主治医とあらかじめ決めておくことです。飲み薬を使うのか、すぐに受診するのか。強い症状が出たことがある人は、自己注射薬(アドレナリン自己注射薬)を処方されている場合もあります。
処方されている薬は、外出先にも持ち歩くこと。家族や周りの人にも、症状が出たときの対応を伝えておくと安心です。」
まとめ:アレルギーがある人のお菓子選びは「表示の仕組み」を知ることから
食物アレルギーがある人のお菓子選びで大切なのは、
- アレルゲンの表示には「義務」と「推奨」があり、推奨の食物は書かれていないこともあると知っておくこと
- 店内で焼いて売るお菓子や外食は、表示の義務の対象外であること
- 「アレルギー対応」「〇〇不使用」は手がかりにしつつ、裏の表示で確かめること
- 食べられる範囲と、症状が出たときの対応は、主治医と決めておくこと
卵・乳・小麦それぞれの選び方は、下の記事で詳しく紹介しています。
編集部より|卵・乳製品・小麦粉を使わない焼き菓子のギフト
最後に、編集部から一つご紹介です。
南青山のカフェ「L for You(エルフォーユー)」の焼き菓子は、卵・乳製品・小麦粉を使わずにつくられています。オンラインショップから、焼き菓子をギフトとして贈ることができます。原材料の選定と製法の設計には、AFRODE CLINIC が監修として関わっています。
※小麦粉は使用していません。厨房で小麦を扱うことはありません。卵・乳製品も使用していません。ただし、原材料がつくられる場所の近くで卵・乳製品・小麦を扱っている場合など、原材料由来の微量の混入(コンタミネーション)までは否定できません。
※クルミ・アーモンドなどのナッツや、大豆を使用している商品があります。
※原材料は商品ごとに異なります。ご購入の前に、各商品ページの原材料表示をご確認ください。
参考文献
- 消費者庁「食品表示基準について」/「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」
- 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
- AMED研究班「食物アレルギーの診療の手引き2023」
