
「グルテンフリーのスイーツを選ぶと、体にいいの?」
「小麦アレルギーの家族がいる。グルテンフリーと書いてあれば食べられる?」
カフェやスーパーで「グルテンフリー」と書かれたスイーツを見かけることが増えました。健康のために選んでいる人もいれば、アレルギーや体質のために選ばざるをえない人もいます。
今回は AFRODE CLINIC 代表医師・道下将太郎先生に、グルテンフリーのスイーツとの付き合い方を聞きました。
Q1. そもそも、グルテンとは何?
記者最初に、グルテンとは何かを教えてください。
道下医師「小麦・大麦・ライ麦などに含まれるたんぱく質の一種です。小麦粉に水を加えてこねると粘りや弾力が出るのは、グルテンのはたらきです。パンがふっくらふくらんだり、麺にコシが出たりするのも、このおかげですね。
グルテンフリーとは、このグルテンを含む食材を使わない食べ方のことです。スイーツなら、小麦粉の代わりに米粉やアーモンドプードル、オーツ麦などを使います。」
Q2. グルテンフリーが必要なのは、どんな人?
記者グルテンフリーが必要な人というのは、どんな人なのでしょうか。
道下医師「大きく分けて、次の3つがあります。それぞれ、体の中で起きていることが違います。」
- セリアック病:グルテンに対して免疫が反応し、小腸に炎症が起きる病気。ごく微量のグルテンでも反応するため、厳格な除去が必要
- 小麦アレルギー:小麦のたんぱく質に免疫が反応し、じんましんやせき、まれにアナフィラキシーが起きる。避けるのは小麦で、大麦やライ麦は人によって異なる
- 非セリアック性グルテン(小麦)過敏症:セリアック病や小麦アレルギーではないが、小麦をとると体調がすぐれないと感じる状態。まだわかっていないことが多い
記者日本ではセリアック病は少ないと聞きます。
道下医師「欧米に比べると少ないとされていますが、まったくないわけではありません。おなかの不調が長く続いている、体重が減る、といった場合は、自己判断せずに医療機関で相談してください。」
Q3. 必要ない人にとって、グルテンフリーは体にいい?
記者では、アレルギーなどがない人がグルテンフリーのスイーツを選ぶと、体にいいのでしょうか。
道下医師「グルテンフリーにすれば、誰にとっても健康に良い、と言える根拠は十分ではありません。
スイーツで言えば、小麦粉を米粉に置き換えても、砂糖や油脂の量が同じなら、エネルギーや糖質はそれほど変わりません。“グルテンフリーだからヘルシー”“たくさん食べても大丈夫”とは考えないでください。」
記者好みで選ぶのは、問題ありませんか。
道下医師「もちろん問題ありません。米粉のもっちりした食感が好き、材料にこだわったものを選びたい、という理由で選ぶのは楽しいことだと思います。大切なのは、“体にいいから”という思い込みで選ぶのではなく、何が使われているかを見て選ぶことです。」
Q4. 体調のためにグルテンを抜いてみたいときは?
記者小麦をとると調子が悪い気がするので、しばらく抜いてみたい、という人もいます。
道下医師「先に医療機関で相談してほしいと思います。セリアック病の検査は、グルテンを含む食事をとっている状態で行うのが基本です。先にグルテンを抜いてしまうと、検査で正しく判断しにくくなることがあります。
小麦アレルギーが疑われる場合も、どこまで避けるべきかは検査などをもとに決めるものです。自己判断で長く除去を続けるより、一度きちんと調べておくほうが、結果的に食事の幅を狭めずに済みます。」
Q5. 「グルテンフリー」の表示は、どう読めばいい?
記者商品に「グルテンフリー」と書いてあれば、小麦アレルギーの人でも食べられますか。
道下医師「そこは注意が必要です。日本には、“グルテンフリー”という表示についての法律上の基準がありません。海外では、グルテンが20ppm未満の食品をグルテンフリーと表示できる、といった基準がありますが、日本の“グルテンフリー”表示が何を基準にしているかは、商品によって違います。
ちなみに米粉の製品には、グルテンを1ppm以下に管理した“ノングルテン”の認証のしくみもあります。」
記者小麦アレルギーの人は、何を見ればいいでしょう。
道下医師「“グルテンフリー”の文字ではなく、アレルゲン表示の“小麦”と、原材料表示を見てください。小麦は表示が義務づけられている特定原材料です。一方、大麦やライ麦はアレルゲン表示の対象ではないので、セリアック病の人は原材料名で大麦・ライ麦・麦芽などを確認する必要があります。
“同じ工場で小麦を含む製品を製造しています”といった注意書きをどう受け止めるかは、反応の強さによって変わります。主治医と相談して決めておいてください。」
Q6. グルテンフリーのスイーツは、どう選べばいい?
記者最後に、選び方をまとめてください。
道下医師「目的によって見るところが変わります。」
- セリアック病・小麦アレルギーの人:アレルゲン表示の「小麦」、原材料(大麦・ライ麦・麦芽・オーツ麦)、混入の注意書き
- 体調が気になる人:自己判断で除去する前に医療機関で相談
- 好みで選ぶ人:グルテンフリーかどうかより、砂糖や油脂を含めた原材料と量
道下医師「グルテンフリーは、必要な人にとっては毎日の食事を支える大切な選択肢です。そうでない人にとっても、材料を見て選ぶきっかけになるなら、よい付き合い方ができると思います。」
編集部より|小麦粉を使わない焼き菓子
最後に、編集部から一つご紹介です。
南青山のカフェ「L for You(エルフォーユー)」の焼き菓子は、全品が小麦粉を使わずにつくられており、卵・乳製品も使っていません。小麦粉の代わりに、厳選した米粉やアーモンドプードル、全粒オーツ麦(欧米のグルテンフリー基準値20ppm未満のもの)などを使っています。原材料の選定と製法の設計には、AFRODE CLINIC が監修として関わっています。
※小麦粉は使用していません。厨房で小麦を扱うことはありません。ただし、原材料がつくられる場所の近くで小麦を扱っている場合など、原材料由来の微量の混入(コンタミネーション)までは否定できません。
※クルミ・アーモンドなどのナッツや、大豆を使用している商品があります。
※原材料は商品ごとに異なります。ご購入の前に、各商品ページの原材料表示をご確認ください。
参考文献
- 消費者庁「食品表示基準について」/「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」
- 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
- Codex Alimentarius「Standard for Foods for Special Dietary Use for Persons Intolerant to Gluten(CXS 118-1979)」
- 日本米粉協会「ノングルテン米粉製品の認証制度」
