
「子ども会のクリスマス会で、お菓子の担当になった。アレルギーの子がいると聞いたけれど、どうすればいい?」
「会社の忘年会。ヴィーガンの人も、アレルギーの人もいる」
年末は、みんなで集まって食べる機会が増える季節です。参加する人が増えるほど、食物アレルギーや、宗教・信条による食の制限など、配慮が必要な人がいる可能性も高くなります。
今回は AFRODE CLINIC 代表医師・道下将太郎先生に、集まりのお菓子や料理を用意するときの考え方を聞きました。
Q1. 集まりのお菓子や料理を用意するとき、主催者がまずすることは?
記者集まりの食べものを用意する側になったら、まず何をすればいいでしょうか。
道下医師「事前に聞くことです。案内を出すときに、“食物アレルギーや、食べられないものがあれば教えてください”と一文添えておくだけで、伝えやすくなります。
食べられないものの理由は、アレルギーだけではありません。宗教や信条で豚肉やアルコールを避けている人、ヴィーガンの人、妊娠中の人もいます。理由を詳しく聞く必要はなく、“何を避けたいか”がわかれば十分です。」
記者アレルギーの場合は、何を聞けばいいですか。
道下医師「原因の食物と、どこまで避ける必要があるか、です。少量なら食べられる人もいれば、微量の混入でも症状が出る人もいます。反応が強い人の場合は、“本人が持ってきたものを食べる”という選択をすることもあります。それも尊重してください。」
Q2. 持ち寄りや大皿の料理で、気をつけることは?
記者持ち寄りパーティーや大皿料理だと、何が入っているかわかりにくいですね。
道下医師「集まりでの思わぬ混入は、料理そのものより、取り分けのときに起きやすいんです。同じトングや取り箸を使い回す、ケーキを切ったナイフで別のケーキを切る、といったことですね。
料理ごとに取り分け用の道具を分ける、アレルギーの人の分を最初に取り分けておく、といった工夫が役立ちます。」
記者何が入っているかを伝える工夫はありますか。
道下医師「料理やお菓子の横に、名前と主な原材料を書いたカードを置いておくと、本人が判断しやすくなります。市販のお菓子なら、パッケージを捨てずに近くに置いておくのも一つの方法です。」
Q3. 子どもの集まりでは、何に気をつければいい?
記者子ども会や誕生日会のように、子どもが中心の集まりの場合はどうでしょう。
道下医師「保護者の確認なしに、子どもにお菓子を配らないことが基本です。お菓子の交換会や、プレゼントのお菓子も同じです。
また、まだ食べたことのない食べものは、集まりの場で初めて食べさせないようにしてください。初めての食物で症状が出ることもあるので、家庭で、すぐに受診できる時間帯に試すのが安心です。」
記者アレルギーの子だけ違うお菓子になると、さみしい思いをしそうです。
道下医師「そこが悩ましいところですね。卵・乳・小麦など、原因として多い食物を使っていないお菓子を中心に選ぶと、みんなで同じものを食べられる子が増えます。ただ、アレルギーの原因は人によって違うので、それですべての子が食べられるわけではありません。最終的には、保護者に原材料を見てもらって確認してください。」
Q4. もしも集まりの場で症状が出たら?
記者もしも集まりの最中に、アレルギーの症状が出たらどうすればいいでしょうか。
道下医師「じんましん、せき、唇や目のまわりの腫れ、腹痛、吐き気などが出たら、まず食べるのをやめてもらい、本人や保護者に知らせてください。
息苦しさ、ぐったりしている、意識がはっきりしない、といった全身の症状が出ている場合は、アナフィラキシーの可能性があります。迷わず救急車を呼んでください。」
記者自己注射薬を持っている人もいますね。
道下医師「アドレナリン自己注射薬を処方されている人は、本人や保護者が持ってきていることが多いです。主催者は、事前に“どこに持っているか”“症状が出たら誰が対応するか”を聞いておくと、いざというときに慌てずに済みます。」
Q5. ケータリングやお店に頼むときは、何を聞けばいい?
記者人数が多い集まりでは、ケータリングを頼むこともあります。
道下医師「注文する前に、アレルギーや食の制限がある人がいることを伝えて、次のことを確認しておくとよいと思います。」
- 料理ごとの原材料や、アレルゲンを教えてもらえるか
- 特定の食物を使わない料理に対応できるか
- 調理場や原材料で、ほかの食物が混入する可能性はあるか
- 料理ごとに名前や原材料がわかるカードをつけてもらえるか
道下医師「“混入の可能性はゼロではありません”という説明を受けることもあると思います。それは不誠実なのではなく、正直に伝えてくれているということです。その情報をもとに、本人が判断できることが大切です。」
Q6. 配慮が必要な人がいても、みんなで楽しむために
記者最後に、主催する人へメッセージをお願いします。
道下医師「配慮が必要な人にとって、“みんなと同じものを食べられる”ことは、思っている以上にうれしいことです。一方で、無理に同じものを食べてもらう必要もありません。
事前に聞く、原材料がわかるようにする、取り分けを分ける。この3つができていれば、配慮が必要な人も、そうでない人も、安心して集まりを楽しみやすくなります。」
編集部より|みんなで囲める焼き菓子とケータリング
最後に、編集部から一つご紹介です。
南青山のカフェ「L for You(エルフォーユー)」の焼き菓子は、卵・乳製品・小麦粉を使わず、動物性の原材料を使わないヴィーガンでつくられています。オンラインショップから、焼き菓子をギフトとして贈ることもできます。原材料の選定と製法の設計には、AFRODE CLINIC が監修として関わっています。
L for You は、2018年から会議やイベント向けのケータリングも行っています。個別の原材料については、問い合わせればお答えしています。アレルギーや食の制限がある方がいる場合は、注文の前にお知らせください。
※小麦粉は使用していません。厨房で小麦を扱うことはありません。ただし、原材料がつくられる場所の近くで小麦を扱っている場合など、原材料由来の微量の混入(コンタミネーション)までは否定できません。
※ケータリングの料理には、魚・鶏・豚など動物性の食材を使うメニューもあります。小麦以外の食物についても、微量のコンタミネーション(混入)の可能性を完全には否定できません。微量でも反応が出る可能性のある方は、かかりつけの医師にご相談のうえ、ご自身の判断でご利用をお決めください。
※クルミ・アーモンドなどのナッツや、大豆を使用している商品があります。

参考文献
- 消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」
- 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
- 日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン2022」
- 厚生労働省「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019年改訂版)」
