
バター、牛乳、生クリーム、チーズ。
焼き菓子やケーキのおいしさの多くは、乳製品に支えられています。
そのぶん、乳製品アレルギー(牛乳アレルギー)がある人にとって、お菓子選びは気をつけることが多くなりがちです。チョコレートやビスケットのように、一見すると乳製品とは結びつかないお菓子に含まれていることもあります。
今回は AFRODE CLINIC 代表医師・道下将太郎先生に、乳製品アレルギーの人のお菓子の選び方を聞きました。表示の読み方に加えて、よく混同される「乳糖不耐症」との違いについても話を聞いています。
Q1. 乳製品アレルギー(牛乳アレルギー)は、何に反応しているの?
記者乳製品アレルギーというのは、牛乳の何に反応しているのでしょうか。
道下医師「牛乳に含まれるタンパク質です。代表的なのはカゼインや、ホエイ(乳清)に含まれるタンパク質ですね。体の免疫がこれを異物と勘違いして、じんましんやせき、腹痛などの症状が出ます。
乳幼児では原因として多い食物のひとつで、成長とともに食べられるようになるお子さんもいます。ただ、どこまで食べられるかは人によって大きく違います。」
Q2. 乳糖不耐症と、乳製品アレルギーは同じもの?
記者「牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする」という人もいます。これもアレルギーなのでしょうか。
道下医師「それは乳糖不耐症の可能性があります。牛乳に含まれる“乳糖”という糖を分解する力が弱く、お腹がはったり下痢をしたりする状態で、免疫の反応であるアレルギーとは仕組みが違います。」
記者お菓子選びでは、どう違ってきますか。
道下医師「ここは大切なところです。“乳糖を減らした”“ラクトースフリー”という表示の商品でも、乳のタンパク質は含まれていることがあります。
乳製品アレルギーの人が“乳糖不使用だから大丈夫”と考えるのは危険です。自分がどちらなのか、あるいは両方なのかは、医師に確認しておくのがいいと思います。」
Q3. 市販のお菓子は、表示のどこを見ればいい?
記者市販のお菓子を選ぶとき、まずどこを見ればいいですか。
道下医師「袋や箱に入った加工食品なら、原材料名とアレルゲンの表示です。乳は表示が義務づけられている“特定原材料”のひとつで、“(一部に乳成分を含む)”のように書かれます。」
記者「乳」という字を探せばいいでしょうか。
道下医師「それだけだと見落とすことがあります。乳製品は“バター”“チーズ”“ミルク”“生クリーム”“脱脂粉乳”“ホエイ”のように、名前に“乳”の字がない書き方で原材料に並ぶことも多いからです。
原材料名を一つずつ追うのに加えて、最後のアレルゲンの表示に“乳成分”があるかを必ず見る、という二段構えがおすすめです。」
Q4. 「乳化剤」「乳酸菌」も避けたほうがいい?
記者原材料に「乳化剤」や「乳酸菌」と書いてあると、ドキッとします。
道下医師「よく聞かれます。“乳化剤”は、水と油を混ぜやすくするための材料のことで、名前に“乳”がついていても、それ自体が牛乳という意味ではありません。“乳酸菌”や“乳酸カルシウム”も同じで、牛乳からつくられたものとは限りません。
ただし、牛乳を原料にした乳化剤などが使われている場合は、アレルゲンの表示に“乳成分”が出てきます。結局はアレルゲンの表示を見るのが確実です。」
記者逆に、「植物性」と書いてあれば安心でしょうか。
道下医師「そこも注意が必要です。“植物性ホイップ”“植物性クリーム”のような商品でも、乳成分が加えられていることがあります。“植物性”という言葉だけで判断せず、裏の表示を見てください。」
Q5. 焼き菓子なら食べられる?「乳製品不使用」はどう見ればいい?
記者卵アレルギーの取材では「加熱すると反応しにくくなる人もいる」と聞きました。乳製品も同じですか。
道下医師「乳のタンパク質には、加熱しても性質が変わりにくいものが多いと言われています。焼き菓子に少し入っている程度なら食べられる人もいますが、“焼いてあるから大丈夫”とは言えません。食べられる範囲は、医療機関での検査などをもとに医師と一緒に決めるものです。」
記者最近は「乳製品不使用」をうたうお菓子も増えています。
道下医師「選ぶときの手がかりになりますね。バターの代わりに植物油を使うなど、工夫された商品も増えています。
ただ、“乳製品を使っていない”ことと、“乳が一切混ざらない”ことは別の話です。“同じ工場で乳成分を含む製品を製造しています”といった注意書きは、メーカーが任意で書いているもので、書かれていなくても混入の可能性がゼロとは限りません。ごく微量でも症状が出る人は、その点も含めて医師と相談しておくと安心です。」
Q6. 乳製品アレルギーの人にお菓子を贈るときは?
記者相手に乳製品アレルギーがある場合、ギフトで気をつけることはありますか。
道下医師「まずは事前に聞くことです。どこまで避けているかは人によって違います。
それから、チョコレートが入ったお菓子は乳成分を含むことが多いので、贈る側も意識しておくといいと思います。原材料表示がきちんとついた商品を選び、詰め替えずに表示ごと渡す。食べるかどうかを最後に決めるのは本人なので、判断できる材料を一緒に渡す、という考え方です。」
まとめ:乳製品アレルギーのお菓子選びは「アレルゲン表示の“乳成分”」を軸に
乳製品アレルギーの人のお菓子選びで大切なのは、
- バター・チーズ・ホエイなど「乳」の字がない原材料にも乳製品があると知っておくこと
- 迷ったら、アレルゲンの表示の「乳成分」を確認すること
- 乳化剤・乳酸菌は名前だけで判断せず、「植物性」も表示で確かめること
- 乳糖不耐症とは別の仕組みで、「乳糖不使用」でも乳のタンパク質は含まれうること
- 焼き菓子でも食べられる範囲は医師と決め、贈るときは事前に聞くこと
「乳」の字を探すだけでなく、表示の仕組みを知っておくと、選べるお菓子の幅も見えてきます。
編集部より|卵・乳製品・小麦粉を使わない焼き菓子のギフト
最後に、編集部から一つご紹介です。
南青山のカフェ「L for You(エルフォーユー)」の焼き菓子は、卵・乳製品・小麦粉を使わずにつくられています。バターの代わりに植物性の油を使った焼き菓子を、オンラインショップからギフトとして贈ることができます。原材料の選定と製法の設計には、AFRODE CLINIC が監修として関わっています。
※卵・乳製品は使用していません。ただし、原材料がつくられる場所の近くで卵・乳製品を扱っている場合など、原材料由来の微量の混入(コンタミネーション)までは否定できません。
※クルミ・アーモンドなどのナッツや、大豆を使用している商品があります。
※原材料は商品ごとに異なります。ご購入の前に、各商品ページの原材料表示をご確認ください。
参考文献
- 消費者庁「食品表示基準について」/「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」
- 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー委員会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
- AMED研究班「食物アレルギーの診療の手引き2023」
