
「病院に行くのは、体調が悪くなってから」多くの人にとって、医療機関とは病気や症状があるときに訪れる場所かもしれません。
一方で、予防医療では「まだ病気ではない」という段階から、自分の身体の状態を把握し、変化を継続的に見ていくことも重要です。
そこで近年注目されているのが「パーソナルドクター」という考え方です。
今回は、AFRODE CLINIC代表医師・道下将太郎先生に、パーソナルドクターとは何か、健康な人が医師と継続的に付き合う意味について伺いました。

Q1. そもそも「パーソナルドクター」とは何でしょうか?
記者最近「パーソナルドクター」という言葉を耳にする機会が増えました。そもそも、どのような存在なのでしょうか?
道下医師簡単に言えば、病気や症状が出たときだけ診てもらうのではなく、健康な時期も含めて、継続的に自分の身体について相談できる医師のことだと考えています。
医療では「継続性」という考え方があります。一度きりの診療ではなく、過去の情報や検査結果、生活背景などを踏まえながら、その人の変化を時間軸で見ていくことです。
パーソナルドクターの価値も、そこにあると思います。

Q2. 一般的な医療機関への受診とは、何が違うのでしょうか?
記者一般的な病院やクリニックを受診することとの違いは何でしょうか?
道下医師もちろん、病気や症状がある場合には適切な医療機関を受診することが基本です。
一方で、パーソナルドクターという考え方では、「問題が起きてから対応する」だけではなく、「今の状態を把握しておく」という視点があります。
健康状態は、一度の診察や一回の検査だけではすべて分かるものではありません。
過去と現在を比較しながら、「自分の身体にどのような変化が起きているのか」を考えることが重要です。

Q3. 症状がない人が、医師に相談する意味はあるのでしょうか?
記者「特に困っていることがないのに、医師に相談する必要があるの?」と思う人もいそうです。
道下医師そこは予防医療を考えるうえで大切なポイントです。
症状がないことと、身体に何の変化も起きていないことは同じではありません。
例えば健康診断などで数値に変化が見られた場合、それが一時的なものなのか、継続的な変化なのかによって意味合いは変わります。
もちろん、数値が少し変わったからといって、すぐに病気と判断するわけではありません。
だからこそ、医師と一緒に経過を確認する意味があります。

Q4. 健康診断を受けていれば十分ではありませんか?
記者健康診断や人間ドックを受けている人も多いと思います。
道下医師健康診断は非常に重要です。ただ、結果を受け取って終わりにしてしまうのは、少しもったいないと思います。
大切なのは、「この結果から何を考えるのか」「次に何を確認するのか」という部分です。
一回の結果だけを見るのではなく、過去の結果と比較することで、自分自身の変化が見えてくることがあります。
検査はゴールではなく、自分の身体を知るための材料の一つだと考えています。

Q5. 「経過を見る」ことには、どんな意味がありますか?
記者一回の検査結果よりも、長期的な変化を見ることが重要ということでしょうか?
道下医師そうですね。
医療では、現在の状態だけでなく、「これまでどうだったか」という情報が非常に重要です。
例えば、ある数値が現在基準範囲内だったとしても、以前と比べて大きく変化しているのであれば、その背景を考えるきっかけになります。
反対に、一時的な変動であれば、経過を見るという判断になる場合もあります。
つまり、数字そのものだけでなく、その人自身の時間軸の中で数字を見るということです。

Q6. インターネットには健康情報があふれています。医師に相談する意味はどこにありますか?
記者今は健康情報を検索すれば、たくさんの情報が出てきます。
道下医師健康情報そのものを知ることは悪いことではありません。
ただし、「一般的に良いとされていること」と「自分にとって必要なこと」は必ずしも同じではありません。
年齢、既往歴、家族歴、生活背景、検査結果などによって、考えるべきことは変わります。
情報を集めるだけでなく、自分の状況に照らし合わせて考える。その部分で医師がサポートできると思います。

Q7. パーソナルドクターには、どのような情報を伝えればいいのでしょうか?
記者実際に医師へ相談するとしたら、どんな情報を伝えるとよいでしょうか?
道下医師特別な準備をしなければいけないわけではありません。
これまでの健康診断や検査結果、現在服用している薬、サプリメントなどがあれば、それらの情報は参考になります。
加えて、「最近こういう変化を感じている」「以前と比べて生活が変わった」といった情報も大切です。
医師にとっては、検査結果だけでなく、その人がどのような生活を送っているのかを知ることも重要です。

Q8. パーソナルドクターは、病気の早期発見だけが目的なのでしょうか?
記者「病気を早く見つけるためのもの」というイメージもあります。
道下医師早期発見は医療において重要な要素の一つですが、それだけではありません。
私は、パーソナルドクターの役割は「病気を見つけること」だけではなく、自分の身体について考えるきっかけをつくることにもあると思っています。
健康な状態を知っているからこそ、その後に起きた変化にも気づきやすくなります。

Q9. 健康管理において、「継続すること」が重要なのはなぜですか?
記者健康管理は、一度検査を受ければ終わりというものではないのでしょうか?
道下医師身体は日々変化します。
だからこそ、健康管理も一度きりではなく、定期的に振り返ることが大切です。
そのときに重要なのは、毎回まったく新しいことをするのではなく、これまでの情報を積み重ねていくこと。
「去年はどうだったのか」「前回と比べてどう変わったのか」という情報が蓄積されれば、より自分に合った健康管理を考えやすくなります。

Q10. 最後に、「健康な人が医師を持つ意味」について教えてください。
記者最後に、今回のテーマでもある「健康な人が医師を持つ意味」について教えてください。
道下医師病気になってから医師に相談することは、もちろん大切です。
ただ、予防医療という視点では、その前の段階にもできることがあります。
自分の身体を知る。変化を知る。そして、必要なときに適切な医療につながる。
そのために、継続して相談できる医師がいることには意味があると思います。
健康は、「問題がないから何もしなくていい」というものではありません。
今の状態を知り、これからどうしていきたいのかを考える。その伴走者として医師がいる――それが、パーソナルドクターという考え方なのだと思います。
まとめ:健康なときから、医師と身体について考える
パーソナルドクターとは、病気や症状が出たときだけではなく、健康な段階から自分の身体について継続的に相談できる医師という考え方です。
健康診断や検査は、その時点の状態を知るための重要な手段です。一方で、検査結果を継続的に蓄積し、過去との変化を確認しながら健康状態を考えることで、より自分自身に合った健康管理につなげられる可能性があります。
WHOもプライマリ・ヘルスケアにおいて、患者と医療者の継続的な関係や、複数の医療者・サービス間の連携を「継続性」の重要な要素として位置づけています。
「病気になったら医師に相談する」だけではなく、「健康なときから医師と身体について考える」。
それも、これからの予防医療の一つの選択肢なのかもしれません。
AFRODE CLINICでは、健康なときから継続して相談できる医師との関係をつくる年会費制のメンバーシップ「AFRODE PERSONAL DOCTOR(パーソナルドクター)」を提供しています。各種検査については予防医療検査のページをご覧ください。
参考文献
- World Health Organization. Primary health care: continuity of care and person-centred care.
- World Health Organization. Continuity and coordination of care: a practice brief to support implementation of the WHO Framework on integrated people-centred health services.
- Agency for Healthcare Research and Quality (AHRQ). Key Study Outcomes Across Grants: Continuity and Care Coordination.
※本記事は予防医療・健康管理に関する一般的な情報を紹介するものであり、個別の診断・治療を目的とするものではありません。体調に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
